本の旅

『宝島』に出航だ!(2010-08-12)

夏期休暇は3日で、しかもまとまってはとれずで遠出はできようもなくってよ

年に1度のおとっつぁんの家のPCのメンテナンス作業日、年に1度の自分の誕生日、年に1度のぬいぐるみの入浴日(フツーは洗濯と言うが)、以上で使い果たしてしまう予定

それでも日々の読書の時間に脳内旅行はできるので、今年の夏はまずは無人島へ・・・

ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』は、今まで児童版しか読んだコトがなく、完訳は今回購入した新潮文庫版が初となるのだが、読み比べた人によれば「創元社版の方がおもしろい」らしい、確かにこういう古典的なSFの訳書は創元社の方が十八番ってカンジで、愛蔵版とするなら創元社のを買えばよかったかも?!ちょっぴり航海・・・いや、後悔

まあ新潮文庫もとりあえず児童版に比べたら、読み応えがあって十分愉しめた、登場人物の15少年のキャラ設定がすごく練られてて、読み進む内にそれぞれの性格がすっかり飲み込めた後半では、こいつはまたこうきたか、とにやりとするのが、この本の醍醐味なのだがその点はとても満足したのでね

☆追記(2014/06/06)☆

結局、『宝島』は電子書籍版で創元SF文庫も買ったので、次回の脳内航海はこれで出航予定

「無人島に何か一つ持って行くとしたら」なんてお題で、サバイバルを生き抜くために役に立つ唯一の何かを議論してたりするが、無人島に漂流してしまった少年たちの物語の原題は、Deux Ans de vacances:2年間の休暇、つまり、無人島にいるというのは、世間から隔絶した完璧な休暇をとってるってコトで、それなら「無人島にどれか1冊持って行くとしたら」として、人生にずっと寄り添ってきた本について語り合う方が愉快そうだ

自分なら子供の頃に大好きだった本の完訳版を選ぶね、例えばシェンキェヴィチの『クォ・ワディス』全3巻とか・・・あ、1冊じゃなくて3冊になってしまうか、そうしたらやはり子供の頃の愛読書のダーウィンの『ビーグル号航海記』、完訳版だとまた複数冊になってしまうから索引的な編集の1冊、講談社学術文庫の『ビーグル号世界周航記――ダーウィンは何をみたか』

ところで実生活では漂流はもちろんだが、船旅なんてとんでもなくってよ、船に限らず揺れる乗り物は激しく酔う性質なのだわ、でも本に関しては【航海記】は1番親近感の持てるジャンルかも?!

子供の頃に最もしつこくくどく読み返したのは、スティーヴンソンの『宝島』で、毎度、読み始めたらわくわく感が尋常でなく、最後まで一気に読めてしまう!

そりゃあ宿屋の息子が海賊の宝を横取りしに行く話なんて、ときめかないって方がどうかしてるが、この物語の中で何よりも心を捉えたのは宝物でも海賊でもなく・・・

海賊フリント船長がどうやって宝島の地図を作成したのか

読む度にこの疑問に捉われて、どこぞの漫才師のように眠れぬ夜を過ごしたのだった

そうして夏休み1日目はおとっつぁんの家に向かったが、旺文社文庫の完訳版『宝島』を持って出航だ!田中西二郎の訳が凄く気に入ってるのは、海賊の台詞が江戸っ子ぽくて、「きゃつをとっつかめえろ!」とか言い出すのだが、まさにおとっつぁんがそういう口ぶりなので、親しみを感じてしまうのだ

そういえば今はもう旺文社文庫自体がなくなってしまったが、個性的なラインナップが好きだったのは、自分の趣味に合ってたってコトだな

☆追記(2011/09/30)☆

結局、電子書籍版で旺文社文庫版が出たので購入、但し、旺文社文庫としてでなくグーテンベルク21

そうして『宝島』を読みながら、待ち時間に飽きるコトなく電車とバスを乗り継いで、往復4時間近くかけておとっつぁんの家へ

PCのメンテナンスはあっという間に終わり、お昼にはおとっつぁんが蕎麦を茹でてくれたのをいただいて、午後は庭のブラックベリーを摘んでジャムをこしらえて、珈琲を豆を挽いて淹れてくれたのを飲みながら、2階の書斎でたくさんの本に囲まれて、楽しい夏休みの1日を過ごした

おとっつぁんの本棚から持てるだけの本を借りてきた

殆どが自分が産まれる前の本、まるで宝の山だ

自分にとっての宝島はおとっつぁんの書斎だったかもね